こんにちは、不動産鑑定事業部の鑑定士 伊奈です。
最近は株高、円安、大胆な金融緩和政策などを背景に、
投資マインドが好転し実体経済の回復を先取りした
投資マネーが不動産市場に流れ込んでいます。
金融商品であるJ-REITの時価総額も、
2013年3月に2007年5月のピークを上回って過去最高記録を更新し、
期末には東証REIT指数の年間上昇率が過去最高の66%となりました。
(ニッセイ基礎研究所H25.4.3「再び不動産ブーム到来か
-投資マネーを新たな成長の糧に」)
この10年来、中国の高度経済成長と
不動産バブルを目の当たりにしてきた私たち日本人の間にも
再びの浮揚チャンス到来の期待感が
高まっているのではないかと思います。
しかし、これから初めて不動産を購入し、
不動産投資を始めようと考えた時に一体どのような物件を選べばよいのか、
収益性や安全性を考慮して選択肢に迷うことになるでしょう。
そこで今回は実際の経営状況を分析し、
物件構造ごとにどのような点が
メリットデメリットとして具体的に考えられるか、
できるだけ分かりやすい形にまとめてみたいと思います。
まず、地域条件がほぼ等しい
築20年程度の木造アパート(2F建て)
築20年程度の木造アパート(2F建て)
鉄骨アパート(2F建て)
RCマンション(4F建て)
分譲2LDK(やや高級)
RCマンション(4F建て)
分譲2LDK(やや高級)
の4タイプを設定します。
そして価格、節税効果、経費率、利回り、将来リスクの
5項目を物件構造ごとに、実例の分析結果をもとに
5段階制でポイント付けを行いました。
※ここでは購入価格が一般に安く購入しやすいと
考えられるものほどポイントを高くしています。
また節税効果とは、価格に対する建物割合が高く、
減価償却費、ローン金利を経費とし て多く計上でき、
節税効果の高いものを5としています。
この効果については、不動産投資を行う最大のメリットとして
よく挙げられますので、ほとんどのオーナー様は
ご存知でいらっしゃるかと思います。
「減価償却費」という見かけ上の支出を計上できることで、
実際上の収支が黒字(家賃収入>ローン支払い)でも、
会計上は建物の価値目減り分を支出として計上することにより、
会計上の収支を赤字にできます。
その結果、損益通算で自分の収入額(給与収入+不動産投資)
を減らし、所得税・住民税を節約することが可能になります。
経費率については、管理費(設備維持費、点検費等)、
修繕費(設備更新、大規模修繕を含む)の大小に着目し
低いものほどポイントを高く設定しています。
利回りは投下資本収益率で、購入金額(時価)に対する
総収益-総支出(減価償却費を除く)で計算される
純収益の割合を表し、高いものほどポイントも高くなっています。
最後に将来リスクとは、
売却価格の値崩れの可能性や賃料推移の安定性を考え、
木造…将来リスクが高めだが、利回りも高い。
鉄骨…全ての要素が中庸
RC…購入金額が高いが、利回り高め、将来リスクも少ない。
分譲…利回りは低いが、節税効果が高く、安定性に富む。
グラフの元となるデータは
多数の物件を統計的に分析したものではないため、
不動産の個別性を考慮すればこの結果が必ずしも
全ての物件に当てはまるわけではありませんが、
物件の構造・種類別の傾向としては概ね妥当であると考えられます。
上記の物件タイプごとのメリットデメリットを把握したうえで、
投資をお考えの方それぞれの資産状況や不動産投資に
何を期待するのか(年金代わりの安定資産か投資利益を追及するか等)
投資姿勢に照らし、物件の選択を行うことが
結果的に失敗しない投資のための重要な前提条件ではないでしょうか。