2013年9月30日月曜日

不動産鑑定事業部コラム 第⑦回                      「オリンピック東京開催が不動産市場に及ぼす影響」


こんにちは。

不動産鑑定事業部 鑑定士の伊奈です。
 

2020年、オリンピックの東京開催が決定し、
 

多くの日本人が歓声を上げ、3兆円から最大150兆円とも試算されている
 
その経済効果に大きな期待を寄せています。

 
オリンピック誘致により最も恩恵を受ける業界としては、
 
建設業、観光・サービス業であることは間違いありませんが、
 
人が動けばモノ・カネも動きますので、
 
様々な周辺産業へも波及効果が見込まれます。

 
不動産業界も例外ではないでしょう。

 
1964年の東京オリンピックでは、
 
新幹線や首都構想区などの交通・社会インフラが整備されることで
 
日本経済が飛躍的に発展しました。

 
同じ状況は北京オリンピックでも起こりました。
 
一方、イギリスで開催された2012年ロンドンオリンピックでは、
 
施設・社会インフラ等が既に整っていたため、
 
期待したほどの経済効果は得られなかったという声が聞かれます。

 
しかし、それでもオリンピック後1年間の波及効果は約15000億円に上り、
 
イギリス政府がオリンピック後に見積もった
 
4年間の経済効果の90%をわずか1年間で達成しています。

 
また官民合わせて109億ポンドの投資額に対し、
 
2020年までの経済効果は約280410億ポンドと、
 
投資の23.7倍ものリターンを見込んでいます。

 
この要因として、オリンピック開催を成功裏に導いたことが、
 
海外からの英国や英国企業の魅力・信用力の向上に

繋がったとの見方がされています。

 
従って仮に東京オリンピック開催までの7年間において
 
経済の活況が予想ほど盛り上がらなかったとしても、
 
開催によって東京・日本という国の魅力を
 
知らしめることによるレガシー(遺産)が、
 
その後の日本経済へ与える影響は大きいと考えられます。
 

そして、このまたとないチャンスを
 
不動産投資にどう生かせるか、今回は考えたいと思います。

 
オリンピック中心エリアとなる、湾岸の晴海や有明地区、
 
また従来から利便性の高い東京都心部は
 
集中的に投資資金が向けられることになるため、不動産価格は上昇します。

 
長らく投資において収益の主流だった
 
インカムゲインからキャピタルゲインを狙う取引が増えることも予想されます。
 
そうなると東京、都市部周辺の投資物件の利回りは低くなり、
 
キャッシュにそれ程余裕を持たない

一般の投資家には手が届かなくなっていきます。

 
そして海外の投資家の中には、
 
既に開催決定前から東京都心の投資用マンションを購入し、
 
名古屋や大阪といった大都市にも触手を伸ばしている方もいて、
 
既に出遅れた感もあります。

 
では、これから不動産投資で収益を上げるために、
 
どのような地域の物件を購入すべきでしょうか。
 

日本の人口減少傾向は既に始まっていますが、
 
都市部ではないにもかかわらず現在でも人口が増加している町村があります。
 

軽井沢や北海道、沖縄などの人気リゾート地では、海外からの観光客が増加し、
 
それに伴って関連産業に従事する人口も増えているためと考えられます。

 
このような地域は日本人にも注目されるようになることから、
 
将来的にも地域の成長が見込めます。

 
オリンピック開催を機に日本を訪れる海外旅行者のなかには、
 
東京周辺以外の日本の観光地を訪れる人も多いと思われます。

 
昨今外国人観光客から人気の高まっている広島や、
 
外国人に好まれる日本情緒の残る街なども、
 
観光誘致が成功すれば脚光を浴びる可能性があります。

 
また日本政府としてもインバウンドには力を入れており、
 
人口減少による内需の衰退を防ぐため、
 
海外からの人材受け入れを積極的に進めていく方針は変わることはないでしょう。

 
よって、投資先の地域の選択に当たり
 
注目すべきキーワードは「外国人」ではないかと思います。

 
日本は国際観光客数や移民の受け入れという点で、
 
前述のイギリスに後れを取っています。

 
しかしこれがオリンピック開催を契機として加速すれば、
 
不動産業界への波及効果はイギリス以上に大きなものになるはずです。

 
外国人に受け入れられるまちづくりを推進する自治体、
 
好まれる要素を持つまち等地方都市に目を向け、
 
投資物件の購入のタイミングをいち早く掴む事が出来れば、
 
今後大きな収益を上げることが出来るのではないでしょうか。