2013年3月25日月曜日

不動産鑑定事業部コラム 第③回                      不動産経営管理シート〝投資効果の早見表〟


 
こんにちは、不動産鑑定事業部の鑑定士の伊奈です。
 
去年行われた
 
〝不動産コンサルティング技能士〟
 (新名称 不動産コンサルティングマスター)
 
の試験を社長の勧めで受験させて頂き、
 
無事に合格することができました。
 
さらに名称の変更が行われ、資格のイメージがつかみやすく、
 
さらになんとなくカッコよくなったような気がします。
 
不動産に関する肩書きは増えたものの、
 
まだまだ未熟な分野もありますので
 
オールラウンドに皆様のお役にたてるよう精進して参りたいと思います。

 
そもそも不動産コンサルティングとは
 
「不動産コンサルティング技能試験・登録制度の登録者が、
 依頼者との契約に基づき、不動産に関する専門的な知識・技能を活用し、
 公正かつ客観的な立場から、不動産の利用、取得、処分、管理、
 事業運営及び投資等について不動産の物件・市場等調査・分析等をもとに、
 依頼者が最善の選択や意思決定を行えるように企画、調整し、提案する業務。」
 
と定義されています。
(不動産コンサルティング制度検討委員会報告書H11.9
 
したがってその試験内容も、
 
不動産の有効利用を企画提案、投資分析を行う事業・実務のほか、
 
不動産に係る税務、建築、法律、金融・経済と多岐にわたっています。

 
特に必須の事業実務については、
 
鑑定でやっていた内容と重なる部分が多いので
 
比較的とっつきやすい内容でしたが、
 
一つ間違うとあとの解答に響いてしまうので過去問を繰り返し勉強していました。

 
しかし、試験というのは時勢や試験委員の方の意向に沿って変化するようで
 
今回の試験内容は今まで見たことのないような形式で出題されていました。

 
それはまだ一般には広く知られていない、

 「不動産経営管理シート」
 
と呼ばれている形式の表です。

 
物件ごとに様々な数字が羅列されており、
 
慣れるまではなかなか意味が読み取りづらいものです。

 
私は幸いにも以前そのシートを作成したことがあったため、
 
それほど戸惑わずに済み助かりました。

 
初めて不動産経営管理シートなるものの存在を知ったのは、
 
〝月刊「不動産フォーラム」〟
 
の塩見哲先生のコンサルティングに関する連載でした。

 
実際に不動産のコンサルティングをする中で
 
非常に役に立っているとお薦めされていました。

 
ただやはり、サンプルを見ただけでは理解しづらく、
 
実際に自分で作成してみなければ
 
経営状況を分析することもお客様に説明することもできないと感じました。

 
そこで長年おつきあいのある大家様に相談したところ、
 
不動産鑑定も含め無料でシートの作成と分析をする代わりに、
 
所有物件の情報をご提供頂けることになりました。

 
その方は都内23区内にお住まいの地主さんで、
 
同区内にマンション・アパートを中心とした
 
複数の収益物件を所有されています。

 
物件タイプは築40年木造の貸家、木造や鉄骨造の古いアパート、
 
鉄筋コンクリートの築浅マンション、
 
等価交換で取得した区分のタワーマンションなど様々です。

 
まず一つ一つの物件について、

概要を左端に、横列へ資産価額を簿価、相続税評価額、
 
固定資産税評価額、時価を順に算出し、
 
その物件に係る評価時点での借入金や敷金等の負債を記入していきます。

 
次に年間収入、年間支出についても項目ごとに
 
できるだけ具体的に調べて記入していきます。

 
大規模修繕費は平準化して計上しています。

 
最後に自動的にグロス利回り、ネット利回りも計算できるようになっています。

 
したがって、項目を埋めてシートを完成させれば、
 
所有物件単体及び収益物件全体での純資産、純利益、経費率、利回り等の
 
パフォーマンスが一目瞭然となります。

 
さて先ほどの大家様の経営管理シートを作成分析した結果はといいますと、
 
ネットの利回りが最も高かったのは木造の貸家、
 
最も低かったものは区分のタワーマンションでした。

 
これは反対からみれば貸家については
 
資産価値が低く築40年以上のため修繕費が嵩むこと、空いた場合のリスクが高く、
 
一方のタワーマンションは

そういったリスク要因が少ないことを表しているともいえます。

 
また経費率が最も高かったのは木造の古い一棟アパートでした。

 
お手持ちのアパートやマンションが一棟や一戸の場合には把握しやすい収支でも、
 
一棟、区分また構造、年数、立地にばらつきがある上記のようなケースでは
 
経営管理シートがあることで、
 
物件ごとや全体での収支状況を容易に把握できるようになります。

 
更に一度作成しておけば、
 
後は毎年変化する数値を手直しするだけで済みますので、
 
物件の入替や相続、節税対策など色々な場面でお役に立つと思います。


 
弊社では「不動産経営管理シート」として、
 
作成サービスを提供しておりますので(弊社HP鑑定サービスより)、
 
是非オーナー様の失敗のない効率的・戦略的な不動産投資にご活用ください。